緑の魔法使いT
[森の危機](3/3)

保健室に入ると、白衣を着た柄の悪そうな男がいた。
おそらく、ここの保健医だろう。
事情を話してベッドに彼女を寝かそうとする。
「あー…そっちじゃなくてあっちの方にしてくれ」
保健医が指差した方へ視線を移すと、保健室のベッドにはそぐわない物がついている。
「これ…手錠?」
「ミセルに無理やり止められたんだろ?起きたらパニック状態で森に向かっちまうからな」
予想ではなく、固定的な言い方だ。
彼女のことをよく知っているのだろうか。
保健医が言うのは最もだが、少々抵抗を感じる。
「俺たちが起きるまで側にいますから」
このまま保健医に任せてこの場を離れようとは思っていない。
「止められなかったらどうする。力はお前らの方があっても魔法で振り切られたらおしまいだろうが」
確かに空を飛ばれたら俺たちは捕まえるどころか、追いつくことすら出来ない。
叫んで呼んでも耳は貸してはくれないだろう。
「…でもこんなの魔法でいくらでも壊せちゃうんじゃ…」
「お前馬鹿か?ここをどこだと思ってる。魔法学校だぜ?」
「はぁ!?」
馬鹿にされたエリオルはむっとふくれる。
「魔法使いしかいねぇんだよ。魔法で壊せないように出来てるに決まってるだろが。分かったら早く寝かせろ」
俺は言われた通りにベッドについている手錠を彼女の両腕につけて寝かせた。
鎖の長さからしてある程度の自由はきくみたいだが…。
少しだけ悪いことをしているような罪悪感に苛まれる。
「うぅ…ごめんよルリちゃん……」
エリオルが何度も謝っていると、突然電話の音が鳴り響く。
学校の内線電話のようだ。
「はい、保健室です。……あー…すぐに行きます」
保健医はガチャリと電話を切り、俺たちの方を見る。
森の騒動に関することだろうか。
「悪いが呼び出しだ。しっかり見張ってろよ」
「はっ!?」
「多分2、3時間もすれば起きるだろう。それまでには戻って来る。余計なことするなよ」
念を押すように言って保健医は去っていった。
「……なにあいつ!!むかつく!!」
馬鹿と言われたことなど無いに等しいだろう。
腹が立つのも理解できなくはないが…。
「俺たちに出来ることはない。彼女が起きるまでここにいるつもりだったんだから問題ないだろ」
エリオルは渋々近くにある椅子に座った。
森の方はどうなっているのだろうか。
魔法生たちが沢山いるとはいえ、あれだけ広い森だとすぐには鎮火しないだろう。
起きた彼女にどんな言葉をかけたら良いのだろうか。
言葉を探しながら俺は彼女を見つめていた。

- 34 -
前n[*][#]次n

/57 n

⇒しおり挿入

⇒作品艫激rュー
⇒モバスペ脾ook


■□■←戻る■□■